選抜高校野球 東陵、乱れた守り 初戦敗退
第86回選抜高校野球大会第3日は23日、甲子園球場で1回戦3試合が行われ、東北代表で、東日本大震災の被災地の宮城県気仙沼市にある東陵(宮城)は白鴎大足利(栃木)に屈し初戦突破はならなかった。
東陵は一回に先制を許して劣勢に回り、四回に4点を奪われるなど計9失点。八回に山崎の適時打で1点を返しただけで1-9の大差で敗れた。
▽1回戦(第2試合)
東陵(宮城) 000000010=1
白鴎大足利(栃木) 10141101×=9
【評】東陵は投手を含めた守りの乱れから失点を重ねた。一回、佐藤が左翼線への適時二塁打を浴びて先制を許すと、四回は、外野陣が飛球の目測を誤って安打にする不運もあって5長短打で4点を失い、相手に主導権を渡した。
六回途中から登板した2番手岡本は1失点と踏ん張った。打線は八回に山崎の中前適時打で1点を返す意地を見せたが、前半の大量失点は重く、流れをつかめなかった。
◎緊張、焦り…聖地の重圧
東陵が立ち上がりからつまずいた。一回、先頭打者の一前への打球を野手がはじき内野安打に。犠打で1死二塁とされ、佐藤が先制二塁打を浴びた。三回にも1失点。要所で乱れた守りはこれだけにとどまらなかった。
四回は1点を奪われた後の2死一塁で、中堅の山崎が打球を見失い、中前に落ちる適時二塁打を献上した。さらに、次打者の左翼へのライナーを、小林がグラブに当てながらも捕り損ねて適時三塁打。結局、この回4失点し、試合は決した。
試合は3万3000人が見守った。先発した佐藤は「大舞台で緊張し、気持ちが空回りした」と立ち上がりを振り返った。「観客やスタンドの屋根にかぶって打球が見えにくかったし、雰囲気にも負けた」とは名手の山崎。小林は「打球を確実に止めようとしたが、焦ってしまった」と悔しがった。
失策数はわずかに1。甲子園独特のムードにのまれ、劣勢に立たされた重圧をはね返せず、記録に残らないミスも出て敗因につながった。千葉監督は「これも甲子園。夏に向けてしっかり修正したい」と選手の成長を促した。(加藤伸一)
<山崎、意地の適時打>
東陵が0-8で迎えた八回に1点を返し、一矢報いた。この回先頭の岡本が内角に詰まりながらも右中間に運ぶ二塁打。続く山崎が中前にはじき返し岡本をホームに迎え入れた。
「(山崎)誠悟さんにつなげば点が入ると思った」という岡本に、山崎は「0点では終われない」と意地を燃やして応えた。千葉監督が「うちにとっては今後につながる」とうなずいた1点になった。
それでも、甲子園初白星とはいかなかった。右袖に「気仙沼」の文字を入れたユニホームを着けて東日本大震災の被災者を元気づけようと全力で戦ったナインは悔し涙にくれた。山崎は「また夏に甲子園に戻り、いい試合をして頂点を目指す」と誓った。
<相原ら楽天の東陵OBねぎらう>
最後まで諦めずに戦った東陵ナインに対し、プロ野球東北楽天の同校OBが球団を通してコメントした。
新人の相原和友投手は「今の力を出し切って全力で戦ったと思う。胸を張って帰ってきてほしい。私も一日も早く1軍で登板し、勝利に貢献できるよう頑張る」と刺激を受けた様子。
井上純ジュニアコーチは「全国での力の差を感じたが、1点を取れたことは良かった。負けて得るものもある。落ち込まず前を向いて、夏にまた出場できることを期待している」とねぎらった。
<捕れる打球捕れず/東陵・千葉亮輔監督の話>
ヒットを打たれるのはしょうがなかったが、捕れる打球を捕れず、失点につながった。攻撃は、相手投手にうまくかわされた。八回に(山崎)主将がいい場面で適時打を決めたのは、今後につながる。
(河北新報より)